【BCP】災害発生に備えて事業継続力強化計画を策定しましょう
事業継続力強化計画の重要性とは?
中小企業経営者の皆さまにとって、災害や緊急事態への対策は経営を守るための極めて重要な要素です。昨今の自然災害やパンデミックなど、予測できないリスクが企業の存続に大きな影響を与える中、「事業継続力強化計画」の認定取得は、これからの経営において不可欠な手段の一つとなっています。本記事では、企業経営者の皆さまに向けて、事業継続力強化計画の意義と、その取得によるメリットについて詳しく解説します。
1. 事業継続力強化計画とは?
事業継続力強化計画とは、中小企業が自社の災害リスクを把握し、防災・減災に向けた対策を具体的に講じるための計画です。簡易的なBCP計画と言えます。この計画により、企業は災害発生時でも事業の継続や迅速な再開を可能にする取り組みを強化します。中小企業庁がこの計画を認定することにより、企業はさまざまな優遇措置を受けることが可能になります。
認定を受けることで得られる主なメリット
- 税制優遇措置: 認定企業は、防災・減災設備に対する税制措置を受けられます。特に設備投資に対する特別償却制度や投資促進税制が適用され、初期コストの軽減が図られます。※なお現状では令和7年3月31日までに認定を受けていることが必要です。
- 金融支援: 低利融資や信用保証の優遇措置を受けることが可能です。日本政策金融公庫による低利融資や信用保証協会による追加保証が含まれ、資金調達においても有利に働きます。
- 補助金の加点措置: ものづくり補助金や事業承継補助金など各種補助金申請において、事業継続力強化計画の認定企業は加点措置を受けるため、補助金採択の確率が高まります(現在補助金の公募は停止中ですので、次回以降変更となる可能性もあります)。
- 各種保険料の割引:事業継続力強化計画の認定を受けることで損害保険料等の割引が受けられる可能性があります(詳細は各保険会社にお問い合わせください)。
参考:中小企業防災・減災投資促進税制
令和元年7月16日~令和7年3月31日までの間に中小企業等経営強化法の事業継続力強化計画又は連携事業継続力強化計画の認定を受けた事業者が、当該認定を受けた日から同日以後1年を経過する日までに、当該計画に記載された対象設備の取得等を行い事業の用に供した場合に、特別償却18%(令和7年4月1日以後に取得等をする対象設備は特別償却16%)の税制措置を受けることができる制度です。
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/antei/bousai/keizokuryoku.html
2. なぜ事業継続力強化計画が必要なのか?
企業を取り巻く環境は急速に変化しており、予測不能なリスクも増えています。特に、日本では地震や台風などの自然災害が頻発しており、企業の事業継続に深刻な影響を及ぼしています。事業継続力強化計画を策定し、事前にリスク対策を講じておくことで、以下のような大きな効果を得ることができます。
リスク軽減と迅速な復旧
災害や緊急事態に直面した際、事前に策定された計画に基づいて行動することで、迅速な復旧が可能となり、事業への影響を最小限に抑えることができます。これにより、従業員の安全確保、取引先への信頼維持、顧客対応の円滑化など、事業の安定を保つことが可能です。
信頼性の向上
事業継続力強化計画を策定し、認定を受けることで、企業の危機管理能力が対外的に証明されます。これにより、取引先や金融機関、顧客からの信頼が向上し、新たなビジネスチャンスの創出にも繋がります。認定マークも使用することができるので、信頼度向上に役立ちます。
3. 計画策定の流れ
事業継続力強化計画の策定は、以下の手順で進められます。
- リスクの認識と評価: 企業が直面するリスク(自然災害や人為的災害など)を特定し、その影響を評価します。
- 対策の立案: 各リスクに対する具体的な防災・減災対策を立案します。設備投資やマニュアル整備、従業員教育が含まれます。
- 計画の策定: 対策を取りまとめた計画書を作成し、中小企業庁に提出します。
- 認定取得: 計画が認定されると、各種優遇措置が適用されます。
4. 計画策定におけるポイント
事業継続力強化計画の策定にあたり、以下のポイントを押さえておくことが重要です。
ハザードマップで自社の直面するリスクを確認
ハザードマップを活用して自社の直面するリスクを洗い出すことが重要です。すべての自然災害に対応することは難しいので当社にとってリスクが大きいと考えられる自然災害を特定し、まずはリスクの大きい災害から対策を講じるようにしましょう。
【WEBで閲覧できる主なハザードマップ】
災害の種類 | ハザードマップ | リンク |
---|---|---|
地震 | J-SHIS MAP | https://www.j-shis.bosai.go.jp/map/ |
津波 | 重ねるハザードマップ | https://disaportal.gsi.go.jp/hazardmap/maps/index.html?layerset=tsunami |
水害・土砂災害 | 重ねるハザードマップ | https://disaportal.gsi.go.jp/maps/?ll=35.864166,140.028339&z=14&base=pale&vs=c1j0l0u0t0h0z0 |
各自治体もそれぞれハザードマップを策定しています。より詳細なハザードマップが掲載されているので、事業所の所在する自治体のWEBサイトで検索してみましょう。
ハザードマップが見つからない場合はハザードマップポータルサイトから検索することもできます。
自社の弱点を明確にする
自然災害のリスクが特定できたら、どの企業も、それぞれ特有のリスクや課題を抱えています。例えば、建物の耐震性が低い場合や、従業員が多くの拠点に分散している場合、これらを考慮した対策を計画に盛り込む必要があります。
協力体制の構築
緊急時には社内だけでなく、取引先や地域社会との連携も重要です。計画には、社外のステークホルダーとの連携方針も盛り込むと良いでしょう。
継続的な改善
一度策定した計画は、そのままで良いわけではありません。定期的に見直し、最新の情報や技術を取り入れて改善を図ることが重要です。
5. 認定取得後のフォローアップ
事業継続力強化計画の認定を受けた後も、計画に基づく取り組みを実行し、フォローアップを続けることが重要です。例えば、防災訓練の実施や設備の点検、計画の更新など、日々の業務の中でリスク対応力を強化していくことが求められます。
6. まとめ
事業継続力強化計画は、企業のリスク管理能力を向上させ、災害や緊急事態への対応力を強化するための有力なツールです。認定を受けることで、税制優遇や金融支援、補助金の加点措置など、多くのメリットを享受できます。中小企業の経営者の皆さまには、ぜひこの制度を活用し、企業の持続的な成長と安定を実現していただきたいと思います。
参考リンク
この記事を通じて、事業継続力強化計画の認定取得を検討する中小企業経営者の皆さまが、少しでもその重要性を理解し、実際の行動に移していただければ幸いです。当社でも策定支援を行っております。自然災害に対する対策を立案したいとお考えの方はお問い合わせください。
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